実は学生時代にCoCo壱番屋のFC店でアルバイトをしていまして。オーナーの姿を見て、自分も独立したいと思いました。いいクルマに乗っているし、金銭的にも余裕もある印象。仕事もプライベートも充実している。実際オーナーなりの苦労があるというのが、今になっては分かるのですが、学生の頃ですから見たままを単純に(笑)。
というのも、私は母子家庭で育ちましたから贅沢もできず、正直そんなオーナーの姿に憧れました。接客は好きでしたし、アルバイトではありましたが仕事に自信を持っていましたから、「自分にもできる!」と勝手に思い込んで。ですから、就職に際しては絶対に採用されるはずと壱番屋しか受けませんでした。今思うと、この自信はどこから来てるんだ!?と恥ずかしくなりますけどね。
入社後も自信はずっと持っていましたね。厨房のスピード、クオリティともに自分がいちばんだ、自分以上はいないと考えていました。スーパーバイザー(以下SV)のアドバイスも聞こうとはしなかったし、店舗に来られても邪魔だなとさえ思っていましたね。
しかし、さまざまな店舗を経験し、4年目くらいでしょうか。独立まであと1年くらいの、大きな店舗の責任者を任された頃です。「お前、周りの人間を見下しているだろ。厨房の作業が早いというのも大切だが、それがすべてじゃない。もっと大切なことがある。」担当SVにガツンと言われました。衝撃を受けました。完全に見透かされていたというか。「ひとりでは決して店舗経営はできない。オーナーになれば、さらにその意識が大切になる」。それからは、人に対して変わりましたね。初めて謙虚になりました。独立まで1年。良いときに気づかせてもらいました。もし気付かずに独立していたらと思うと、ゾッとしますね。
1
独立する!という決意のもと壱番屋に入社<22歳>
2
自信を持っていた自分の鼻っ柱を折られる<26歳>
3
5年の修行期間を経て、地元で独立を果たす<27歳>
4
社員の待遇改善のため、2店舗目を考える<31歳>
5
2店舗オープン。オーナーとして責任が増す<33歳>
6
今後も地域貢献を大切に経営していきたい
私は不器用なタイプとよく言われます。サラリーマンなら、要領がいい人が出世の階段を上っていくイメージがあるかもしれませんが、私はそうじゃない。
壱番屋は、本部、SVの方がしっかり見守ってくれています。修業時代の過程をちゃんと見てくれて適切なアドバイスをくれます。独立してからも、毎日のように連絡を取り合っていますよ。家族のように信頼していますし、信頼もされているのを実感します。私は壱番屋でなければ独立できなかったと、はっきり言えますね。
それともうひとつ。やっぱり商品であるカレーの味。修業時代から毎日食べていますが、まったく飽きない。うちの店のスタッフも毎日食べています。考えてみれば不思議ですよね。みんな「魔法のカレー」と呼んでいるんですよ。これも大きな強みです。
諦めないこと。結局これに尽きると思いますね。たくさんのアドバイスをSVからいただけます。ともに働く仲間からもいくつもの気づきをもらえます。それは活かすのは自分次第。私自身は「独立する」と決めていたので諦めたことは一度もありません。「独立したい」ではなく、「独立する!」です。
現在は5店舗を展開する経営者となり、従業員の家族の生活も背負っていると考えるようになりました。地域のお祭りなどのイベントがあれば、出張販売の要請を受けて移動販売車で出かけます。人とも地域ともつながりができ、そのつながりが広がって来ました。もちろん大変なこともありますが、毎日が充実している幸せを感じています。独立したからこそ得られた幸福感ですね。
独立者の言葉
「ひとりだけでは店舗は経営できない。」
SIDE
STORY
体重が80kgくらいまで増えて、さすがにヤバいと思い(笑)。3年前からトレーニングジムに通い始めて10kg以上落としました。これは、先日従業員がプレゼントしてくれたトレーニング用のシャツ。うれしかったですね。従業員のためにも、健康維持しないと。ですね!