入社前はいろんな仕事をしてきました。高校を中退し、最初は工場で家具部品の製造、その後独立した父の仕事を手伝ったり、東京で機器やソフトの営業をしていたり。ただ、その度に原油高騰やリーマンショックといった社会情勢、自身の怪我もありなかなかうまくいかず、気がつけば30歳手前。そろそろ本気で一生の仕事を見つけなければ、と調べていたところ壱番屋に出会いました。独立までのイメージがしやすく「ここしかない」と思いましたね。
私の場合は、最初から今後伸びていくだろう「パスタ・デ・ココ」での独立を考えました。応募の電話をかけると「実際に食事されたことありますか?」「いえ、ありません」「一度食べてみてからご連絡ください」と。確かに食べてみて好きじゃないと一生の仕事にはならないと思い、実際にお店にいきました。「これならいける!」決意は固まりました。その日のうちに、もう一度応募の電話をかけていましたね。
結構早い段階から店舗の責任者を任せてもらったので、プレッシャーからなかなかしっかりと寝られない日が続きました。そして、入社2年半くらいでしょうか。ある大きなミスをしてしまい、それが尾を引いてさらに2、3日連続してミスを犯してしまった。
その件で店長から電話があった際に「僕はもうダメです」と弱音を吐いてしまいました。叱られると思っていたら「全然ダメじゃない。大丈夫」と逆に励まされて。その言葉にすごく救われて、そこからガラッと変わることができました。「これだけ頑張ってきたんだ。やれることをひとつひとつ積み重ねていこう」と思ったら、仕事のこと、店内のことが俯瞰して見られるようなり、今やるべきことが判るようになって。
結局のところ「評価してもらいたい」「独立したい」と焦っていたのかもしれません。夜もゆっくりと寝られるようになりましたよ(笑)。
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リーマンショックや自身の怪我もあって帰郷<28歳>
2
アルバイトの高校生にも敬語を使い、教えを請う<29歳>
3
入社2ヵ月目にして、自分の無力さを痛感する<29歳>
4
責任ある立場のプレッシャーに負けそうになる<31歳>
5
店舗限定メニューを新発売し、好評を得る<34歳>
6
次店舗も視野に入れ、仕事に趣味にさらに熱中
創業者の宗次氏の著書のなかで「お客さまを笑顔で迎え、心で拍手」「儲けることを先に考えるのではなく、まずお越しいただいたお客さまに感謝して、最善のサービス、最善の商品を提供し、最善の笑顔でお見送りする。結果としてそれが成長につながる」「頑張って、みんなのためになる。お客さまのためであり、会社のためであり、従業員のためであり」
これらの考えが壱番屋には根付いていて、僕らもしっかり受け継いでいる。これこそが壱番屋の強みだと思います。独立したオーナーはみんな壱番屋で育ち、いわば「壱番屋の子供」なんです。独立後はオーナーそれぞれの成長や変化はあるかもしれませんが、経営理念を実現する方法を真摯に考えている。そこがブレている人がいない。これが現場力に繋がっているんだと感じます。
修行中はいろいろあると思います。僕もそうでした。でも振り返れば、そのすべてが成長につながり、いまの確かな土台になっています。壱番屋の理念と自分を信じて、独立まで何が何でも頑張り続けてください。
その先は、楽しいですよ。人それぞれだとは思いますが、僕は自由人なので、好きなことをやりたいようにできることが幸せ。従業員さんをしっかり育てれば、スケジュールは自分で立てられるので、自分の時間も作れます。
仕事の面でも、趣味の面でも、こうしたい!という考えがあれば実行できます。独立を目指す人には魅力だと思うし、メリットと言えると思います。僕もいろんな趣味に熱中しましたよ。もちろん、責任はすべて自分で取るわけですけどね。
独立者の言葉
「やりたいことができる、思いを実現できる。」
SIDE
STORY
僕は凝り性であり、飽き性でもあって(笑)。いまはゲームにもハマっていますが、1年くらい前はクルマに熱中し、そのあとはバイク。ふと乗りたくなって、すぐに免許を取り、バイクも買ってしまいました。店の事務所には、バイクのメンテナンスのための道具があります(笑)。経営と両立しつつ、好きなことを思いっきりやれる環境ですね。