豊かな日本にあっても、経済的な問題から十分な学ぶ機会に恵まれていない子どもや、さまざまな事情で家族と離れて生活をしている子どもがたくさんいます。少しでも助けになれればと、壱番屋は福祉活動を続けてきました。自分ではどうしようもない理由で夢を諦めることがないように。将来の自分を思い描きチャレンジできるように。
今、大事にしているのが「顔の見える社会貢献活動」です。県や市を通じて児童養護施設などに具体的なお困りごとをお伺いしています。毎年、地域を変えて支援をさせていただいていますが、冷蔵庫や洗濯機、エアコンといった生活必需品の他に、送迎用のバスや車庫をお贈りしたことも。そして、お渡しする際には社員が施設を直接訪問させていただいています。お金や物だけでなく「応援しているよ」という気持ちも一緒にお渡ししたいから。また、施設の方と直接お会いすることで、どんな支援を必要とされていらっしゃるのかを知り、新たな支援にもつながりました。
2023年からは、新一年生の子どもがいらっしゃる施設にはランドセルもお贈りしています。新しいランドセルを購入する予算がなく、お下がりを使っているという現状を知ることができたからです。
今年支援をさせていただいたのは、営業所のある福岡県とカレーソースの工場がある佐賀県の34の児童養護施設です。そして、そのうち6施設にランドセルを寄贈しました。新年度まであと少しとなった2月、福岡営業所と佐賀工場の社員が各施設にランドセルを届けに伺いました。福岡県遠賀郡にある「報恩母の家」へ訪問したのは、福岡営業所の伊藤さんと小田さん。「どんなお子さんなんだろう。喜んでくれるかな」と、楽しみ半分ドキドキ半分といった様子で、車で約1時間の道のりをあれこれ想像しながら向かいました。
施設に到着し、案内された部屋で待っていると、元気な子どもの声が聞こえてきました。4月から小学校に入学する二人の男の子です。朝から「今日ランドセルが届く!」と楽しみにしていて、保育園から帰宅後は今か今かと待っていてくれたそう。
小田さん、伊藤さんからランドセルをお渡しすると、「そうそう、僕が選んだのは紺色」「僕は黒!」と満面の笑顔。自分で選んだお気に入りのランドセルです。うれしそうに背負ってみたり、中を開けてみたりと、とても喜んでくれている様子にその場にいた全員が自然と笑顔になり、温かい空気に包まれました。「春から楽しみ。勉強はできないけどがんばる!」と話す子どもたちを見送り、施設長の花田様にもお話を伺いました。
「社会福祉の中でも、児童養護はまだまだマイノリティです。社会全体で子どもたちを支援していくためには、施設のことを知っていただくということが大事ですので、こうして社員の方が直接来てくださるのはとてもありがたいです。地方は企業が少ないこともあり、支援が届きにくいという現状もあります。施設側にも、子どもたちにも要望を聞いてくださり、そのお気持ちをとてもうれしく思っています。」
その後、施設の中も見学させていただき、自立後に家庭を築けるように集団生活ではなく家庭に近い環境で生活していることや、児童福祉の分野は担い手が少ないこと、お贈りした備品をどのように使っていただいているか、お役に立っているかなど、たくさんのお話を伺いました。帰りの道中、小田さんと伊藤さんは子どもたちの笑顔と、施設長のお話を振り返っていました。
小田さん 「今回の訪問前に児童養護施設について調べてみたんです。実際の様子も伺えて、支援が必要な子どもたちについて知るきっかけになりました。これからも私たちにできることを考えていきたいですね。」
伊藤さん 「期末で慌ただしい中でしたが、会社を代表して訪問させていただいて社会貢献について考えるよい機会になりました。サポートできることはこれからも積極的にやっていきたいですし、会社としても続けてほしいです。自分にも同じ歳の娘がいますので、余計にそう感じました。」
一企業としてできることは少ないですが、子どもたちが明るい未来に向けて羽ばたけるように、これからも「私たちにできることは何か」を考え、支援を続けていきます。
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