2004年入社
海外 香港事業担当 米田 正人

今の仕事について

壱番屋は現在、カレーハウスCoCo壱番屋の海外展開を積極的に進めており、12の国と地域に出店しています。ココイチの世界展開を通じ、日本食としてのカレーライスを世界に広げることと壱番屋のおもてなしである「ニコ・キビ・ハキ」を世界共通語にすることを目的としています。

現在の私の仕事は壱番屋インターナショナル香港有限会社に所属し、主に香港のココイチの店舗展開、運営管理を行っています。海外事業の仕事とは海外のココイチで店長として調理や接客の仕事をするのではなく、SVとして海外店舗のマネジメントを行うことが仕事となります。

海外事業での経験について

香港では2009年に壱番屋香港有限会社を設立し、2010年に香港1号店をオープンしています。私は2008年11月よりこの立ち上げの現地担当者を任せてもらい、その後の展開に携わっています。

香港での立ち上げに抜擢されましたが、現地では出店のための準備が整っているわけではありません。自分が出勤する事務所もデスクも、ましてや住むところすらなく、誰も知った人もいない土地でココイチを出店するための準備を全くのゼロからスタートさせました。上司もアドバイスをくれますが基本的には任せてくれおり、自分で判断しながら仕事を進めていました。とはいえ、香港で店舗をオープンさせるための方法は知識も経験もなく分からない。完全に手探りでしたね。既に香港へ出店されていた他社外食チェーンの先輩方とも交流を重ね、本当にいろいろなことを教えてもらいました。紹介してもらった日系会計会社へ足を運び、会社設立に必要なことを学び、現地で生活することで、少しずつ香港のことを知り、理解していくことができましたね。

言葉も英語にはちょっと自信があったんですが、香港では広東語が主流で本当にカタコト。身振り手振りで交渉や打合せを進めていましたよ。そんな状況からなんとか会社を設立し「さあ店舗の出店だ。」と思うと出店する場所、食材の確保・流通、人の採用と課題が山積み。その課題にもたくさんの人の協力のおかげでクリアしていくことができ、会社設立から7ヵ月後の2010年6月、ようやく香港1号店をオープンさせることができました。わからないことしかない環境でも多くの人たちの協力があり、人と人とのつながりが形となった瞬間だったと感じています。自分よりも年齢が上の方ばかりでしたが、とてもかわいがってもらえましたし、今でも交流は続いていますよ。このときにできた人とのつながりは自分だけの宝物だといえますね。

1号店をオープンした後は約1年をかけ、「ニコ・キビ・ハキ」を実践する接客や現地の方にもおいしいといってもらえる商品力にこだわった運営にじっくりと注力し、その後は半年に1店舗のペースで出店を続けました。

香港での出店が7号店まで進んだ2015年、次はフィリピンへの展開を立ち上げる話がやってきました。フィリピンでの出店は、現地で外食チェーンをすでに展開している企業とエリアフランチャイズ契約を交わして展開することとなりました。現地での外食店舗経営のノウハウを持つ企業であり、日本の食材もフィリピンではそのまま使えるため、比較的スムーズに準備も進み、オープンを迎えることができました。フィリピン1号店のオープンから1年半で6店舗目をオープンし、売り上げも順調に伸ばすことができています。

今までの仕事でうれしかったことややりがいは?

次々に新しい国、地域へ行くことができる。新しい店舗を出店するために現地に入り、自分の知らない文化や習慣の中にどっぷり浸かり、知ることができる。そして多くの人と関わることで、国籍や国境を越えた幅広いネットワークを自分の手で築いていくことができる。このネットワークの規模の大きさはやはり海外事業だからこそだと思いますね。香港で経験したように、まだココイチのない地にココイチをゼロから創っていくことができることも大きな使命感とやりがいを感じます。更にこの規模で仕事をすることによって、日本にいるときには知っているつもり、わかっているつもりだった自分がまだまだ未熟であることを認識することができ、日々、自分の成長を感じることができることもやりがいですね。

海外事業展開に向いている人は?

海外展開を進める中で大切なことは自分の軸がしっかりあることだと感じます。海外ではさまざまな価値観が交錯する中でココイチの出店を目的として仕事を進めます。現地には現地の習慣ややり方があります。協調し受け入れることも大切ですが、自分は日本人であり壱番屋の人間。日本のカレーライスを伝え、壱番屋の「ニコ・キビ・ハキ」を伝えに来た伝道師であるという認識をしっかりと持ち、流されないことも大切です。自分の軸がぶれることなく仕事をするためには、タフな精神力も必要であるといえますね。

さらに言葉が通じない海外の環境では病院にかかることも一苦労です。健康であってこそ、よいパフォーマンスで仕事ができますので、よく食べ健康であるということも必要ですね。ちなみに私は現地の食べ物もなんでも好き嫌いなくいける健康体です。

壱番屋に入社したのはなぜですか?

子どものころからココイチの店舗は身近にあり、学生の頃にもよく利用するお店でした。就職活動を始めたころに合同企業説明会に参加したところ、壱番屋のブースを見つけました。知っているチェーンだったこともあり、本当になんとなく壱番屋のブースで先輩社員と話をしたんです。その方は若くしてSVという立場で仕事をされており、活き活きと楽しそうに自身の仕事のことを話す姿が輝いて見えました。ブースを離れる時にその方はこっそりと「実は結構、稼いでいるんだ。」と話してくれたんです。若くても自分のがんばりが評価され、認められる仕事ができる会社だ。自分もあのSVのようになりたい。楽しそうに話をする先輩社員への憧れが進路決定の決め手になりましたね。

入社してみてどうですか?

新入社員研修を経て岡山エリアの店舗への配属となりました。店舗での勤務は思った以上に忙しい毎日。同期入社の新入社員も近くの店舗におり、先輩社員もフォローしてくれる。頑張ろうと思える環境でした。店舗で従業員が各々のスキルを最大限に発揮し、お客様によろこんでもらえる店づくりをすることはとても楽しく、チームとして仕事ができることに喜びを感じていました。入社から半年後、配属エリアが変わり、店舗の責任者を任せられるようになりました。その店舗はアルバイトさんが少なく、自分が頑張るしかない。チームではなく、一人頑張る日々に正直、つらいと感じており、SVに「辞めようと思います。」と相談しました。そのときのSVの言葉は「大変なのはわかる。でも自分で決めた仕事だ。3年、やってみろ。」でした。実はそのSVは就活中にあこがれたあのSV。「わかりました。3年がんばります。」決意して仕事に向き合う私がいました。そんな私も入社14年目を迎えます。これから入社する新入社員が感じることも私が感じたように「店舗の現場は大変。」だと思いますね。

店舗勤務中に経験しておくと良いことは?

店舗では先輩社員がおり、マニュアルもしっかりとあります。わからないことを質問すれば答えをくれる人がいる環境です。せっかくわからないことができたのであれば、表面的に答えを理解するだけでなく、なぜそうなのか、理由も含めて理解してほしいと思います。これでいいのか、どうすればよくなるのか、そもそもなぜかを考える。
海外では言葉も習慣も違う文化の中で育ってきた人に壱番屋の接客を教えます。なぜそうすることが必要なのか、理由も含めて明確に伝えなければ理解してもらえないんです。日本にあるものを当たり前と思わないこと。なぜこの道具を使うのか、なぜこの様な客席レイアウトになっているのか、そもそもなぜこの場所に店舗を造ったのか。この「なぜ」の積み重ねがココイチの特性を知り、海外で働く中での武器になります。何よりも考え、理解する習慣を日本の店舗で働くうちに身につけてきてほしいですね。

5年後の目標は?

海外での生活も長くなりますが、正直いって日本に戻りたいという気持ちはないですね。日本での仕事は全てのものができあがった世界での仕事のように感じてしまいます。海外事業の仕事はまだまだこれから大きく展開していく仕事であり、自分の意思で自由に仕事ができる環境があると言えます。この仕事をしてきたからこそ感じることだと思いますが、自分が考え、世界を創っていく仕事にやりがいを感じており、そこで力を発揮したいと思っています。

段々と出店する国や地域が増えてきたとは言え、ヨーロッパも広いですし、南米など、まだまだココイチの無い国や地域の方がたくさんあります。ロンドン出店にも携わりましたが、自分がロンドンに店を出しましょうと提案して進めた仕事ではありません。まだ行ったことの無い国や地域に自分が行き、出店を企画提案し、壱番屋の海外展開を進めていく。そんな立場で仕事をしていることが目標ですね。

新入社員に向けて一言

就職活動で多くの企業に出会い、それでもひとつの企業に決めなければならない。人生最大の決断をした気持ちで入社を決めると思います。しかし、入社してみると自分がやりたい事とできる事とやらなければならない事は食い違い、やりたい事ができないなら辞めようかなという気持ちが沸いてくることもあると思います。私もそのように感じたことがありました。そんな経験をするだろう皆さんに伝えたいことは「自分で決めたのだから3年はやってみろ」ということです。私も悩みましたし、迷いました。でも辞めずに続けたことで、今、自分のやりたいことができる環境で仕事ができており、それを評価してもらえている。感じることは自分の決断を信じ、SVの言葉を信じ、続けてよかったということです。

休みの日は何してる?

家族も一緒に香港で暮らしています。休日には妻とふたりの娘とゆっくり過ごすことが多いですね。一緒に買い物に出かけたり、遊びに行ったりすることも楽しいです。普通の日本のお父さんと変わりない休日を過ごしていますよ。この仕事は体力勝負って話もしましたが、トレーニングにジムにも通っています。体力づくりにリフレッシュがてら始めたんですが、行き過ぎてけっこうガチな筋トレにはまっていますね。